『妖しき月夜』

140SS

 狼男っているだろ、なんて言うんだ。満月の晩だけ獣になるモンスター。月のせいだから忘れてくれって、そう言うんだ。
 でも、月が明るいからお前の顔もよく見えたよ。俺を組み敷いた時の深さを増した琥珀色、舌が離れた時の怯えたような色。
 なぁ、本当のお前を教えてよ。怖がらないで、俺が一緒だから。