2022-11
Because I love you(+)-cobalt-
「お前、進路ってなんか考えてんの?」 暦にそう問われたのは、高校三年の夏、暦の部屋での事だった。
Because I love you(+)-lime light-
大好きな人と、暦と一緒に過ごす朝が好きだ。俺の方が目が覚めるのが遅かった時は、優しい瞳に見つめられて一日の始まりを迎える事ができる。頬を撫でられて、髪を梳かれる。寝起き特有のいつもより掠れた声でおはよ、と囁かれて名前を呼ばれる。頬を撫でてくれる手にすり寄って甘えて、まだとろんとしてるだろう自覚のある目で見つめれば、仕方ないなって風に息を吐いて、甘い琥珀色が近付いてきて、やわらかいキスを顔中に、焦らした最後に唇にくれる...
Because I love you(+)-As it is-
アスリートとしては当然普段から食事には気を遣って糖質脂質が多いものは取らないようにしてるけど、大きな試合のない時には時々ハメを外す事もあるし、メディアの取材やスポンサーとの食事では僕の方からおすすめのレストランなんかを指定する事もある。地元出身の国会議員や書道家の先生もご贔屓という触れ込みで紹介したイタリア料理店は、僕自身もプライベートで十年近く前からよく訪れている。もっとも、その頃は接待に使うんじゃなくて、夕方のデ...
幸視点九莇
例えば兄貴の公演の初日を観たときとか。本当に感極まったとき、九門は少しの間無表情になる。 一緒に秋組公演を観る機会が多いオレたち夏組はもちろん、劇団員ならそれなりの人数が知ってたと思う。だから、一番近くにいる人間が知らないはずないとは思うんだけど。さすがに緊張してるってことかな。 目の前にいるのは無表情の九門、それからオレの渾身の力作を着た莇。いつもよりずっと綺麗にメイクした莇は、感情の見えない九門に不安そう。で...
世界で一番きれいな
それよりもずっときれいな新緑色に、オレが写り込んでいる。みどりいろはだんだん見えなくなって、それから、 -- 彼が呼吸してるすぐそばの当たり前の中に好きだと感じる色彩があって、それよりもっと好きな特別になっていくといいな~と思います。