『嘘だと言ってよ』

140SS

 その唇が動いたのは、俺を拒絶する言葉。俺が暦から一番聞きたくない言葉。
 ――飛び起きた俺は全身に嫌な汗をかいていて、夢見がどれだけ最悪だったかを知らしめてくる。目が合わなくなってから、こんな夢ばかり見てる。
 ねぇ、お願いだから。今すぐ俺のそばにきて。嫌いだなんて、嘘だって言ってよ。