『追憶』

140SS

 目を閉じた先、まどろみの中、春の日の俺がいた。何も瞳に映ってない、雪山から動けないままでいる俺。――スケートをまだ知らない俺。あんな顔をしてた頃が、俺にあったんだ。
 声を掛けようとして思い留まる。あの俺はこれから知るんだ。無限の夢を。
 教えてくれるのはお前じゃないと意味がないから。