SK∞

SS

ペアルック

クレイジーロックに行く前にハンバーガーショップで待ち合わせたその日、時間通りにやってきたのはランガだけだった。暦はちょっと遅れるって。そんな事を言っていた気がするけれど、僕はランガの服装から目が離せなかった。 もちろん、予想くらいできてたんだ。少し前に、服の話をしたばかりだったから。 いつも通りの夜だった。暦とランガが一緒に来るのもそうだし、ジョーとチェリーが並んで現れて小学生みたいな言い合いをするのもいつも通りだっ...
SK∞

次の瞬間、世界は歓声に包まれた。

月明りが落ちる窓辺で耳を澄ませる。微かに届く排気音。だんだん大きくなるそれに小さく笑って、窓に作ったアールを滑り出す。宙を舞いながらデッキを回して、警戒な音を立ててアスファルトに降り立つ。それとほぼ同時に聞こえたバイクの止まる音に振り返る。 「暦!」 応えを声に出す代わりに拳を突き出す。俺たちの手が無限をかたどって、微笑みあう。この形にもずいぶん慣れた。 「ほら、早く」 「おう」 投げられたヘルメットを被って後ろに飛...