ロリポップ・ハニー ティラミスにはまだ早い 「いい恋人の条件って何だと思う?」 通い慣れたイタリアンレストラン、テーブルの私の向かいに座ったランガが言った。頬杖をついて、少し眉を寄せている。何か不満があったんだろうか。ランガの口から出る「恋人」に当てはまりそうなんて、思い浮かぶのは一人しかいない。 2022.02.05 ロリポップ・ハニー
ロリポップ・ハニー あったかくて、あまい。 笑い声が聞こえた気がして顔を上げる。薄く開いた台所の窓から見える外は真っ暗だ。泡のついた手をそのままに窓に近付けば、家の前の通りを歩く人が見えた。 壁時計を見上げれば十時過ぎ。もうそんな時間になるか。丼を水切りに積み上げて、泡を落とした手を雑に拭って居間の引き戸を開ける。 2022.01.10 ロリポップ・ハニー
ロリポップ・ハニー 後天性にょ 腕に触れたふわりとした感触がくすぐったくて、薄くまぶたを開いた。覚めきらない頭で視線を動かすと、俺のむき出し肩には雪の色をした綺麗な髪がうずめられている。 2021.06.05 ロリポップ・ハニー