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Becaue I love you

Because I love you(+)-cobalt-

「お前、進路ってなんか考えてんの?」  暦にそう問われたのは、高校三年の夏、暦の部屋での事だった。
Becaue I love you

Because I love you(+)-lime light-

大好きな人と、暦と一緒に過ごす朝が好きだ。俺の方が目が覚めるのが遅かった時は、優しい瞳に見つめられて一日の始まりを迎える事ができる。頬を撫でられて、髪を梳かれる。寝起き特有のいつもより掠れた声でおはよ、と囁かれて名前を呼ばれる。頬を撫でてくれる手にすり寄って甘えて、まだとろんとしてるだろう自覚のある目で見つめれば、仕方ないなって風に息を吐いて、甘い琥珀色が近付いてきて、やわらかいキスを顔中に、焦らした最後に唇にくれる...
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『はいはい、降参降参』

ずっと夢中でいて欲しくて。俺が「色仕掛け」すると、暦は大きく息を吐いて仕方ないっていう風に「降参」してくる。我儘を宥められてるみたいで悔しい。  本当に煽られてくれてるの。零した途端、世界が回る。床に押さえつけられて、燃える茜色しか見えなくなる。背筋が震える。  なぁ、もっと欲しがって。
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『冬空と雪』

見上げた窓の外、灰色の空の下には細かい白が舞い踊っていた。  どうりで冷えるわけだ。故郷から本土に出て数年、この冬の風物詩を見るのは初めてじゃないけど、ここまで激しいのはなかったと思う。多分、今まで見た中で一番雪らしい雪なんだろう。  だけど、俺の中で一番きれいな雪は、きっと、ずっと。
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『追憶』

目を閉じた先、まどろみの中、春の日の俺がいた。何も瞳に映ってない、雪山から動けないままでいる俺。――スケートをまだ知らない俺。あんな顔をしてた頃が、俺にあったんだ。  声を掛けようとして思い留まる。あの俺はこれから知るんだ。無限の夢を。  教えてくれるのはお前じゃないと意味がないから。
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『ささやかな願い』

「ずっと一緒に」。  笑って話したその願いは、ささやかに聞こえても儚くなんてないことくらい知ってる。明日隣にいられるかさえ、神様にしかわからない。  だけど、今この瞬間、一秒先の未来、そばにいて、手を繋いでいたい。一瞬の願いを積み重ねて願った永遠なら、ずっと続くって、そう思いたいんだ。
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『嘘だと言ってよ』

その唇が動いたのは、俺を拒絶する言葉。俺が暦から一番聞きたくない言葉。  ――飛び起きた俺は全身に嫌な汗をかいていて、夢見がどれだけ最悪だったかを知らしめてくる。目が合わなくなってから、こんな夢ばかり見てる。  ねぇ、お願いだから。今すぐ俺のそばにきて。嫌いだなんて、嘘だって言ってよ。
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『なぐさめる』

例えば、宮古島に行く船で自分に向けてと勘違いして女の子に声を掛けたこと。似たような失敗を、暦は何度もしている。  そのたびに落ち込んでないって強がる暦に、気にするなよ、次があるよ、なんて言うけど、本当はそんなこと思ってない。世界で一番暦のことが好きなヤツは、すぐそばにいるんだから。
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『なでなで』

面倒見がいい俺の恋人は、妹たちの前ではもちろん、そうでない場所でも「お兄ちゃん」になることが多い。  だけどそんな彼も、二人の時だけ見せる姿がある。ベッドの中、目が覚めてるのに擦り寄ってくる髪を撫でる。もっと撫でろとばかりに頭を押し付けてくるから、甘えてくる恋人を全身で抱きしめた。
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『まるで愛の告白』

俺のメカニックお手製のデッキは、その後も彼の手で改良が続けられてる。どんなデッキも滑れるけど、専用カスタムの使いやすさは格別で、これで滑る時が一番俺は俺でいられる。  お前なしじゃいられないな。そう零せば、一生俺が見るし、それでいんじゃね。なんて、そっぽ向いた耳が赤いから。そんなの、
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『「また、明日」』

鼓動が跳ねる。空が、海が、世界がきらきらしてる。全部、隣にいるからだ。一緒だから楽しいって、大切なことを教えてくれた。  帰りたくないな。そうこぼした俺に、明日も明後日もって言ったろ、って歯を見せて笑って、まっすぐ俺を見て拳を突き出してくれるから。  今は俺も笑って言える。 「また、明日」
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『なにも欲しくなんてないよ』

熱があった。心配してくれた母さんを仕事に送り出して、休む連絡をする。  白くて明るい部屋は静まり返って、世界に俺しかいないみたいだ。  まぶたを閉じて落ちるみたいに眠って――頬に触れる温度に目を開ける。赤色、夕焼け色。離れていこうとする手を握る。  今だけは行かないで。他に何もいらないから。
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『悪夢を見た。』

居眠りしてた相棒が跳ね起きた。ヘアバンドを掴んで俯いた様子がつらそうで視線で大丈夫かと言えば、悪夢だっただけだと手を振られる。  それでも心配で、弁当を食べ終えた彼の頭を抱き寄せる。少しでも甘えてよ。  背中に回される腕に驚いて彼を見る。お前がいなくなる夢見た。  ……悪夢って、それのこと?
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『内緒だよ』

小さい子が覚えたての言葉を使いたがるのはどこの国でもよくあること。それはよくわかってるのに、可愛い双子に言われたそれに、俺は舞い上がってしまって。 「内緒だよ」  唇に指を立ててて微笑めば、二人は真似てくれるから、両手で頭を撫でる。  だって嬉しかったんだ。にーにとけっこんするの?なんて。
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『猫可愛がり』

暦と同じ学科のヤツ曰く、暦は猫を可愛がっているらしい。大学にいるのか、通学路か。それともミヤの事か。  可愛がるなら俺にすればいいのに。そう思ってたら暦の学科のそいつは笑って猫の事じゃないって日本語を教えてくれた。  惚気話ばっかりしてくる、恋人を猫可愛がりしてるって。  …それってつまり、