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Becaue I love you

Because I love you(+)-As it is-

アスリートとしては当然普段から食事には気を遣って糖質脂質が多いものは取らないようにしてるけど、大きな試合のない時には時々ハメを外す事もあるし、メディアの取材やスポンサーとの食事では僕の方からおすすめのレストランなんかを指定する事もある。地元出身の国会議員や書道家の先生もご贔屓という触れ込みで紹介したイタリア料理店は、僕自身もプライベートで十年近く前からよく訪れている。もっとも、その頃は接待に使うんじゃなくて、夕方のデ...
ロリポップ・ハニー

ティラミスにはまだ早い

「いい恋人の条件って何だと思う?」  通い慣れたイタリアンレストラン、テーブルの私の向かいに座ったランガが言った。頬杖をついて、少し眉を寄せている。何か不満があったんだろうか。ランガの口から出る「恋人」に当てはまりそうなんて、思い浮かぶのは一人しかいない。
140SS

『距離感』

うちのクラスの有名なスケボー馬鹿どもは、距離感が近すぎる事でも有名だ。  まるで恋人みたいにいつもくっついてた二人が、何故かぱったりスキンシップしなくなった。  違和感を感じて半月、今度は何やら甘い空気を纏った、妙な温度で触れるようになった。  なんつーか、ごめん、察したくなんてなかったよ。
You make me Rainbow

You take me to Inferno.

*** この街には人魚の伝説がある。人間の男に恋した娘が、人の脚を得る事を魔女に願った。魔女の薬により願いを叶えた娘は男に近付き、二人は仲を深めた。正体が人魚だと知れても二人の絆は強く、想いを通わせた娘と男は婚姻を遂げたという。 男が領主家の跡継ぎだった事もあり、人魚を娶った話は街、島中に生き渡った。ハッピーエンドの異類婚姻譚は数々の芸術のモチーフとなった。元から海の恵みへの感謝の意味があった祭も、舞の演目に人魚との...
SS

気付きたくなかった、

左耳に届くカウントに合わせ、白い路地に黄色いボードが跳ね上がる。先程まで踵をひっかけていたデッキは今度はくるりと周り、前後を入れ替えた位置で足裏が掴んだ。軽快な着地音が路地に響く。  落ちる静寂。――しかし静けさは、一瞬の後に破られた。 「お、おおおおおおおお~~~~~~!!!!!!」  視線の少し先で、赤毛が歓喜の咆哮を挙げている。左手ではガッツポーズを、右手は耳を押さえている。さらにしばらく余韻に浸ってから、仔犬...
SS

ペアルック

クレイジーロックに行く前にハンバーガーショップで待ち合わせたその日、時間通りにやってきたのはランガだけだった。暦はちょっと遅れるって。そんな事を言っていた気がするけれど、僕はランガの服装から目が離せなかった。 もちろん、予想くらいできてたんだ。少し前に、服の話をしたばかりだったから。 いつも通りの夜だった。暦とランガが一緒に来るのもそうだし、ジョーとチェリーが並んで現れて小学生みたいな言い合いをするのもいつも通りだっ...